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北海道根室の「植樹後」を現地視察

 秋晴れの日,北海道は中標津空港に降り立った。今日明日と「日本野鳥の会」のご案内による植樹地の視察である。早速,今年7月に植樹をした根室市の野鳥保護区に向かう。道中,国道両脇の牧草地帯に番のタンチョウを何度も目撃した。生息に適した環境と野鳥の会さんをはじめ地元の方々の温かい眼差しによって護られている。やはり,北海道は貴重な環境なのだ。


タンチョウの後ろ姿   野鳥保護区の立て看板
(タンチョウの後ろ姿) (野鳥保護区の立て看板)

植樹地にて

 程なく,野鳥保護区内の「植樹地」に到着。生活道路は通っているが,ここは野鳥の会さんが所有する広大な保護区の中,みだりに訪れる者はいない。現地スタッフである松本さんに案内され,認定機関である環境プランニング学会の評価委員とともに足を踏み入れた。植樹地は鹿除けのシカ柵によってすべて囲まれている。幼樹の若葉はエゾ鹿にとって格好の餌食だそうだ。ボランティアベースのプロジェクトなどはシカ柵がないため,植樹後はほとんど意味を成さない。帰路にそんな事例も見せていただいた。さて,本植樹だが見事に生育していた。高さは約1.5メートル前後。樹種ごとに整然と植えられ,その姿はなんだか凛としている。下土は植樹前に刈り取られた笹や雑草が堆肥のような状態だった。歩くとやわらかい絨毯のようだ。これなら根も張るだろう。しっかりと活着するのは来春とのこと。ここ根室は雪も少なく,風対策に挙げた植栽率がその役目も果たすだろう。認定委員の方が詳しく説明を受けておられた。現地責任者の富岡さんが応対されていた。耳を傾けると,一部葉の育ちが良くない樹種があるとのこと。包み隠さず説明されている。「最悪ダメな場合は,部分再植樹も含め対策します。」とのこと。委員の方も納得の様子。この辺が営利団体ではない野鳥の会さんの姿勢だろう。目的は森を育てることであり,植樹がゴールではない。“植えっ放し”はあり得ないのだ。


側道に停めた移動車両   松本さんのガイド
(側道に停めた移動車両) (松本さんのガイド)


百年の森

 説明の後,すぐ横の脇道から目指すべき“ゴール”を案内してもらった。つまり,樹齢50~100年の森である。本州の人間が想像する樹齢百年の森はうっそうとした薄暗い森だが,ここの森は違う。とても明るいのである。陽光が差し込み,木立の間隔がしっかりとあり,そして下草が繁茂している。広葉樹なので,スギやヒノキの森のように人工的ではない。松本さんに聞くと,クマやリス,ネズミ,キツツキ,キツネやシカなど多種多様な動物が生息しているらしい。生物多様性とはこのことか,と実感した。林業や森林のイメージとは程遠い“まさに森なのである”。


陽光差し込む木立   齢100年の樹木
(陽光差し込む木立) (齢100年の樹木)

風蓮湖にて

 「植樹地」をあとにし,保護区のモニュメントへ連れていただいた。ラムサール条約にも登録されている“風蓮湖”の景勝地。美しい。我が県滋賀県の琵琶湖にも負けず劣らず風光明媚である。そんな自然豊かな場所に建つ記念碑は,この保護区のために寄付をされた渡邊さんの名が刻まれていた。野鳥の会さんの活動は,こういう多くのドナーによって支えられている。弊社も本プロジェクトを通じて,すこしでも尽力出来ればと願っている。排出権や炭素吸収量の算定は,ややもすると産業的な経済活動が中心になってしまいがちだが,本来は環境保全,しいては地球資源こそが命題である。必ずしもイノベーションだけが温暖化対策ではない。地道に今ある森や湖を守ることこそが本当の対策と云えるのではないだろうか。


風蓮湖の景勝   重みのある記念碑
(風蓮湖の景勝) (重みのある記念碑)

視察を終えて

 まず,なによりご案内いただいた野鳥の会様に感謝申し上げます。その感謝の意は,行程でのご対応はもとより,視察を通して知り得た野鳥の会さんの真摯な,そして地道な活動に。また,その後ろにおられる沢山のドナー(寄付者)の方々にも敬意を表します。植樹の評価については,認定機関の学会から公表があるのでコメントは控えますが,PJ支援者としての弊社は,満足できる成果であったと思います。クライアントである野鳥の会様は,野鳥の保護を通じて野鳥のみに留まらず,その生息環境そのものを保全そして育成されていることが解りました。“鳥さえも住めない環境”は,人間にとっても良い住環境であるはずがありません。便利さと引き換えに失ったものは,空を飛ぶ野鳥のように「誇りある翼」かもしれません。弊社も経済活動をする一員ですが,ソーシャルベンチャーの初心を忘れずに今後も邁進していきたいものです。最後に,お世話になった関係者の皆さんに御礼申し上げます。
ありがとうございました。


皆さんと記念撮影:左2番目が私
(皆さんと記念撮影:左2番目が私)

平成21年9月30日
排出権市場ドットコム
代表 太田豊彦

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