環境省より「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」が2008年2月7日に公表されました。
カーボンオフセットとは、当事者が、自らの温室効果ガス(CO2含む)の排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等(排出権)を購入することにより、その排出量の全部又は一部を埋め合わせることをいう。 (一部抜粋、付記)
自らのGHG排出量(主に二酸化炭素)から削減できなかった部分(黄色枠)を、他の場所で削減を実現した「排出権」を用いてオフセットする(埋め合わせる/相殺)ことによって、自らの排出量を“なかったこと”にすることが可能となります。これが、カーボンオフセットです。では、なぜ、他の場所(人)が削減したもの(排出権)で、自分自身の排出量を埋め合わせることができるのでしょうか?それは、ここで用いられる排出権が、専門的な機関(国連や国が設置した第三者機関)によって、正確に、測定・報告・検証(MRV)がされたものだからです。これらは、国際ルールや国内制度によって規定されています。

代表的な排出権であるCER(認証排出削減量)は、京都議定書で定義されました。その実施プロジェクトは、CDM(クリーン開発メカニズム)とよばれ、国連のCDM理事会が統括しています。つまり、厳格な公的機関が認めたもの、それが排出権という権利です。ただし、欧州などでは、主にカーボンオフセットに用いられる排出権は、“VER”とよばれる私的な第三者機関が認証したものが主流となっています。これは、欧州(EU)には、国内排出量取引制度(EU-ETS)が確立されており、独自の排出権:EUAが広く流通していることに関係があります。日本では、現時点では(2011年8月)、排出量取引制度が確立されておらず、法整備も途上のため、京都クレジットとよばれるCERを用いてカーボンオフセットすることが一般的です。ただ、最近では、環境省が主管のオフセット・クレジット(J-VER)や経産省の国内クレジットを用いてカーボンオフセットを実施することも増えてきました。また、ちなみに同クレジットは、国内法である温対法や省エネ法の報告書制度に活用できます。その意味でも、今後も「排出権」の用途はどんどん拡がっていくことが予想されます。

今日では、カーボンオフセットはマーケティングやCSRの向上に活用されるようになってきました。このことは、カーボンオフセットが事業活動における戦略的なツールとして威力を発揮することがはっきりしてきたからに他なりません。ユーザーであるコンシューマーやステークホルダーは、企業により一層の社会性を求めています。その証左に、一般消費者の環境意識の高まりを背景に、コンシューマーの約70%が「カーボンオフセット商品やサービス」を購入する意欲があることをリサーチ会社の調査では明らかになっています。
求められるウォンツがあっても、需要に繋がるためには“ニーズ”にならなければなりません。その意味で、これからのカーボンオフセットには、コミュニケーション能力やパブリシティが重要なキーとなってきます。
弊社はそれを、カーボンオフセットの『ストーリーテリング』(物語の語り口)と呼んでいます。
カーボンオフセット・ストーリー7か条
① 主体者はどんな会社か?
② どのような経緯でカーボンオフセットに取り組むのか?
③ どのような削減行為がなされたか?(あるいはするのか?)
④ オフセットの目的は?
⑤ オフセットする意義は?
⑥ 用いる排出権の質は?(種類・プロジェクト・背景など)
⑦ 先見性や話題性や地域性は?
これらを、ストーリー性をもって構築します。そして、肝腎なことは“他者へ語れること”(説得力)です。消費者へ取り組みが理解され納得してもらえれば、社会に浸透します。そして、成果(売れること!・企業イメージの向上・認知度アップ
etc…)が得られるのです。このようなマーケティングの手法を、コーズ・マーケティングと呼びます。
カーボンオフセットは、マーケティング・ツールとしてますます重要視されていくことでしょう。そして、規制強化や制度設計が国内で始まるころには、4Pに代表されるマーケティング・ミックスのように、効果的で影響し合う工夫が求められることとなります。
